幸せのままに ここはある国の小児病棟がある病院、そこには難病の子供たちが入院していました。 ある個室に小さな女の子が入院していました。その子は治らない病気でずっと入院していました。 その子の楽しみは窓から空を見たり、スケッチブックで絵を描くことでした。 そのスケッチブックには、自分が大きくなったらこんな風になりたいと願いを込めて描いた、女の子が大きくなった時の姿でした。頭にティアラをかぶり真っ白なドレスを着て白いヒールの靴を履いて笑顔で立った姿の絵でした。 そしてその横には優しい笑顔の王子様が立っていました。 女の子はその絵を見ては楽しそうでした。 ある日女の子が空を見上げた時、白いフワフワとした雲が、いくつも重なった不思議な雲を見つけました。 「あの雲、面白い形してる」暫く見ていました。雲は風に乗って流れていきました。 「ああ…行っちゃった…」女の子は少し淋しくなりました。 そこに看護師が入ってきて「どうしたの?」と尋ねました。女の子は雲の話をしました。「そっか…風が連れてっちゃったんだね、でもまた来てくれるかもしれないよ」看護師のその言葉に女の子は少し元気になりました。 女の子は毎日空を眺めては雲を待ちました。ある日母親が来て空を見てる娘に「何か見えるの?」と聞きました。女の子はいつか見た雲のことを話して、また見たくて待っているのだと話しました。 母親は女の子の頭を撫でながら「待っていればまた見られるかもしれないね」そう言った母親の顔は少し悲しそうでした。 それでもそれを隠しながら笑顔で接しました。 ある日女の子が外を見るとあの雲が流れてこました。「あ、あの時の雲?」その雲は少し形が変わっていました。少しだけ形が整ってきているように見えました。 「何か動物みたい」女の子は楽しくて仕方ありませんでした。「次はどんなふうに見えるかな」女の子はそれから毎日、その雲をスケッチしました。女の子は元気になったように見えました。しかし現実は厳しく医師は母親にそれを告げました。母親はその場で泣きましたが、女の子の病室に行く前に涙を拭いて、笑顔で中に入り女の子の横に行きました。「今日は見られたの?」その質問に女の子は嬉しそうに「うん、何かの動物みたいになってきてるの」嬉しそうにスケッチブックを見せて話す娘を見て、涙がこぼれるのを止められませんでした。それを見た女の子は「ママ、どうしたの?どこか痛いの?」心配そうに聞く娘に「ちょっと目にゴミが入っちゃって」そう言ってハンカチで涙を拭きました。 「取れたみたいだから心配しないで」と娘に言いました。女の子はホッとした顔でベットに横になりました。その顔は少し辛そうでした。「苦しいの?」母親が心配そうに聞きました。女の子はやっと笑顔を作って「少し…疲れた…だけだよ」そう言って目を閉じました。母親はすぐにナースコールのボタンを押しました。 看護師がすぐに来てくれて女の子を診ました。すぐに医師を呼んで診察して母親に今は安静にと言い残して出ていきました。 母親はその時が近いのを悟りました。 次の日女の子は、また空を見ました。あの雲はそれが何の動物か分かるくらいまで形が整っていました。「あれは…天馬、かっこいい」女の子は嬉しそうにそれをスケッチブックに書きました。 ある日その雲がはっきりと天馬の姿に見えるようになってから、女の子の容態は悪くなっていきました。母親は毎日女の子の病室に寝泊まりしました。 ある日の夜、母親がトイレに行っている間に、女の子の部屋が明るい光に包まれました。その窓からあの天馬が入ってきました。その背中には女の子が描いた王子様が乗っていました。病室に入ると王子様は天馬から降りると「お迎えに参りました」と女の子のベットの前で手を差し伸べました。でも女の子はその頃には起き上がる事も出来なくなっていました。 女の子は目を開けるとゆっくりと体を起こしました。女の子は不思議そうに自分の体を見ました。体のつらさがウソのようになくなっていて、ベットから降りて立ちました。ふと自分を見るとその姿は自分の願っていた大人になった自分でそしてスケッチブックに描いたドレスを着ていました。 女の子はくるりと回ってその体の軽さに驚きました。「凄い…何も苦しくないし辛くない」そしてそこにいる王子様を見て女の子は満面の笑顔を見せました。 母親が部屋の前に来ると部屋から光が漏れていて慌ててドアを開けようとしました。少し開けて中を見た時、その奇跡の光景に動くことが出来ずに、その成り行きを見守っていました。 王子様は女の子の手をとり「さぁ行きましょう、私がお側に居ます、安心して」天馬は前足を折って姿勢を低くして、女の子を乗せ王子様が後ろに乗り女の子を抱きしめました。女の子は本当に綺麗な花嫁のように輝いていました。天馬は立ち上がると2人を乗せて窓から飛んで行きました。 すると部屋の中の光は消え、月明かりが差し込む薄暗い部屋になりました。 母親は慌てて女の子を見ました。女の子は嬉しそうな笑顔でした。母親は女の子の名前を呼びました、しかし女の子は目を覚ましませんでした。すぐに医師を呼びました。医師は首を横に振って女の子の臨終を伝えました。母親は女の子にすがって泣きました。でも…女の子の顔は病気の辛さを感じないような本当に幸せそうな顔だったのが母親にとって救いでした。 女の子は天馬に乗って好きな王子様と一緒に天国へ旅立ったのでした。 母親はあの光の中、娘の成長した姿を見たその姿を胸に生きて行こうと思いました。光の中の成長した娘は叶えられなかった大人になると言う夢が叶い、そして花嫁のように美しい姿を私に遺してくれ、幸せのまま天国へ。
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