岩場に、薄桃色の鱗が落ちてる。 魚のものにしては大きい。物珍しさに、つい手が伸のはす。 「プラスチック?」 指先でつまみ、日の光に透かしてみると景色がほんの少し赤く染まった。 指先で軽く弾いてみると、金属ともガラスとも違う、高い澄んだ音がした。 手のひらに乗せ、写真を撮っていると、岩陰から小さな声が聞こえた。 澄んだ深い 「返して……」 振り返ると、銀色の髪をした、透けるように白い肌の女の子がこちらを見ていた。 「え?」 「それ、あたしの」 どうやら、この鱗のことを言っているらしい。 拾ったときは、ただの変な欠片だった。けれど、返してほしいと言われた瞬間、それは急に、俺のものになった気がした。 「いや、これ俺が見つけたし」 そう返すと、女の子は少しうつむいた。 「それ、ないと帰れない」 「帰れない?」 「一枚取れちゃったから、体が浮いちゃう」 そう言って、彼女は岩陰からゆっくり出てきた。 足は、なかった。 代わりに、薄桃色の鱗をまとった大きな胴が、濡れた岩の上に横たわっていた。